【レポート】新聞社から見た中小企業のメディア活用法

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皆さん、こんにちは。千葉日報デジタルの中島です。千葉日報デジタルは、千葉県の新聞社・千葉日報社の子会社として2021年に設立されました。

われわれのミッションは、新聞社が持つ情報発信ノウハウにデジタル技術を絡め、県内事業者の皆さんの情報発信力強化をサポートさせていただくことにあります。

本稿では「新聞社から見た中小企業のメディア活用法」をテーマに、皆さんが今取り組むべき情報発信について解説していきます。

 ◆中小企業あるある

皆さんの会社でこんな「あるある」はないでしょうか?

《せっかくいい新商品を開発したのに、なんで認知度が上がらないんだろう》

《もっとこのサービスの情報が広まれば、使ってもらえる取引先増えそうなのに・・・》

《事業内容を知ってもらえたら、いい人材の採用に役立つと思うんだけどなあ》

これらの問題は、「商品の認知度」「販路拡大」「人材採用」など異なる「あるある」に見えますが、実は、根本にある原因は「広報力の不足」といえます。

自社の商品・サービス・事業内容を広く周知できていないがゆえに、販売が思わしくなかったり、人材採用に困ったりする事態が起きているのです。

 ◆広報力を上げるには?

では、広報力を上げるにはどんな手を打ったら良いのでしょうか? さまざまな方法がある中で、ひとつの有効な方法は「メディアの活用」です。

なお、一口にメディアといっても、マスメディア(新聞・テレビ等)、ソーシャルメディア(ツイッター・インスタグラム等)など、さまざまな分類がありますが、本稿では「マスメディアの活用」に特化して話を進めます。

マスメディアを活用する利点はいくつかあります。ひとつは、マスメディアに取り上げられると情報が一気に拡散され、認知度の向上につながる点です。新聞やテレビは多くの閲覧者を抱えているため、地道な情報発信に比べ一度の掲載による情報拡散力は高くなります。

もうひとつは、歴史あるマスメディアは信頼性が高いため、そこに掲載されることで箔が付き、取り上げられた側の信頼性が高まる点が挙げられます。掲載された記事などは営業ツールとして売り込みに展開することも可能です。

マスメディアにうまく自社を売り込み、取材されれば「中小企業あるある」の課題が解決につながる可能性が十分あります。

 ◆メディア活用の落とし穴

ですが、メディア活用にもいくつか落とし穴があるので注意が必要です。ひとつは、取材する対象を決めるのはマスメディア側だということです。いくら自社の商品やサービスを売り込んでも、マスメディア側で「これは取り上げて広く周知すべきだ」と判断されない限り、取材されることはありません。

もうひとつは、マスメディア側に「ぜひ取材したい」と思わせるには、それなりの売り込むテクニックが必要だという点です。

単に「新商品を開発しました」だけでは、よほどその商品が画期的でない限りマスメディア側の触手は動きません。「○○という社会問題を解決するために新商品を開発した」「このサービスを利用すると千葉県の企業がこう変わる」といった意味付けを行い、さらにそれらの意味を含め、しっかりマスメディア側に伝えないと取材にはつながりません。

こうした一連の作業を行う場合、大企業であれば広報部が対応しますが、中小企業は広報部がない、または総務部門などと兼務といったケースが多く、対応が後手に回りがちです。こうした「誰が対応するか」という人的問題もクリアする必要が出てきます。

 ◆メディア活用のコツ

こうした利点と注意点を踏まえた上で、マスメディアを活用する際のコツを解説していきます。

ひとつめのコツは「記者クラブの活用」です。各自治体には記者クラブがあることが多く、新聞・テレビの記者が所属しています。当該の記者クラブに所属するのは多くそのエリアを担当する記者のため、うまく関係性が築ければ取材を依頼しやすくなります。

ふたつめのコツは「プレスリリースの有効活用」です。プレスリリースはメディアに対して発表したい内容を端的にまとめた資料のことで、取材を依頼する際に必須のアイテムとなります。

「どんな商品・サービスなのか」「いつ・どこで販売するのか」といった基礎的な情報から、「どうして開発したのか」「これを販売することで社会にどんな効果が還元されるのか」といった意味付けまでを簡潔にまとめることで、取材のきっかけをつかむのに役立ちます。

記者クラブに取材案内を出す際もプレスリリースを配布するのが一般的です。マスメディア側が取材をするかどうかの判断材料とする資料のため、商品開発と同じくらいの熱量で内容を充実させることが求められます。

 ◆デジタル活用も視野に

さらに、みっつめのコツは「デジタル活用を視野に入れること」です。マスメディアの活用は一昔前であれば、前述の「記者クラブでプレスリリースを配布する」のが一般的でした。

ですが、現在は「プレスリリースをウェブ上で配信する」というサービスも登場しており(PR TIMES等)、地域限定の記者クラブの枠を超えたプレスリリースの配信が可能となっています。

デジタルを活用してプレスリリースを配信する利点は、マスメディアへの情報提供と同時に、一般のインターネット利用者にも直接リリース内容を見てもらえることです。プレスリリースの内容がそのまま1枚のウェブページになるので、インターネット上での情報発信の効果も生まれます。

従来のマスメディア活用に加え、新たにデジタル活用を視野に入れることで、広報力強化の幅はぐっと広がります。以上3点がマスメディア活用のおおまかなコツです。

 ◆まとめ:解決の近道へ

ここまでの話をまとめます。

①中小企業は販路拡大や人材採用でさまざまに課題を抱えている。

②それらを広報力で解決できる可能性があり、マスメディアの活用がひとつの手段。

③マスメディアの活用は情報が一気に広がって販路拡大などにつながる利点がある一方、取材はマスメディア側の判断に委ねられるので注意が必要。

④マスメディアの取材を促すために記者クラブやプレスリリース、デジタルツールの活用を理解し、丁寧に実践する必要がある――となります。

また、本稿で解説した内容を中小企業が個々に実践していくには人的リソースの問題も出てきます。自社内に専門的な知見がなく、人的リソースも不足している場合は、地域の経済団体などに相談の上、必要なサポートを受けるのが解決の近道といえるでしょう。

(株式会社千葉日報デジタル 中島悠平)

※この記事は千葉県中小企業団体中央会様の会報誌「中小企業ちば」(令和5年4月号)に掲載されたものを転載しています。

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