今回は、千葉県の観光活性化に向け、旅館ホテル組合と地域メディアの千葉日報グループがタッグを組んで、デジタルを活用した情報発信に取り組んでいる事例のご紹介です。
インタビューを受けていただいたのは、千葉県旅館ホテル組合の武川豊事務局長。千葉日報グループとの連携のきっかけから、「成功」を実感したデジタルプロモーションの展開事例、コロナ禍を経た千葉県観光の将来まで、幅広く語っていただきました。
――まず、千葉県旅館ホテル組合について教えてください。
【武川さん】 正式名称は「千葉県旅館ホテル生活衛生同業組合」といい、昭和33(1958)年に結成されました。もともとは旅館・ホテルの衛生管理の強化を推進する組織でしたが、今は宿泊業界全体の発展に向けてさまざまな取り組みを進めています。千葉県内に25支部があり、組合員は331施設です。
――地域メディアの千葉日報グループ(千葉日報社・千葉日報デジタル)と、2020年11月に包括提携協定を結びました。どんな経緯があったのですか?
【武川さん】 「組合の情報発信にデジタルを活用したい」という課題がありました。今の観光誘客を考えた時にデジタル配信は欠かせないですが、組合としても、個々の組合員としても、そこが弱点だったので、時代のスピードに合うようにてこ入れしたいと考えていました。
2020年の秋頃、コロナ禍の感染対策を紹介する組合制作の動画を、千葉日報さんの動画サイトに掲載してもらったことで関係性ができました。
――提携を結ぶ決め手は何でしたか?
【武川さん】 その後、千葉日報さんから協定の打診を受け、『千葉日報』は千葉の地元紙、私たちも地元の組合なので、千葉県の情報発信をする、経済活性化を図るという方向性は一緒、ぜひ協力して、相互にうまく進んでいければと思い、提携を結びました。
――これまでどんな取り組みをされてきましたか?
【武川さん】 2021年1~3月には、青年部の有志と「コロナ後の千葉の観光を考える」と題して座談会を不定期で開催しました。コロナ禍の今は苦しいですが、コロナが明けたら必ず観光需要は戻ってきます。そのときに慌てて何かやろうとしても遅いので、先回りして観光活性化のアイデアをざっくばらんに話し合いました。
また、4~5月には組合独自の宿泊キャンペーンを実施し、そのデジタルプロモーションを千葉日報さんにお願いしました。これまでも組合ではキャンペーンをいろいろとやってきましたが、デジタルプロモーションを絡めたのは初めてでした。
――デジタルプロモーションを取り入れた手応えはどうでしたか?
【武川さん】 「成功」だと思います。今回は宿泊キャンペーンの特設サイトを用意して、そこにお客さんを誘導するためのネット広告を期間限定で展開しました。その結果、お客さんにキャンペーンを認知してもらえたし、その後のお客さんのリピートにもつながったので効果が大きかったと思います。
これまで紙媒体だけでプロモーションをしていたときは結果が見えにくい部分もありましたが、デジタルを活用したプロモーションを組み合わせることで、スマホを使ったりしているお客さんにも効果的に情報発信し、認知に結びつけることができました。
今後、同じようなキャンペーンをやるときは、今回のようなデジタルを活用した流れで情報を打ち出し、誘客につなげていきたいと思います。
――今後、組合としてどんなことに取り組んでいきますか?
【武川さん】 今後、観光がどうなるかは未知数ですが、インバウンドはすぐには戻ってこないし、逆に海外に出て行く勢いもすぐには戻らないと思います。ですので、しばらくは国内旅行、特にマイクロツーリズムの需要があり、そこに力を入れていかないといけない。
幸い、千葉県は東京近郊で、莫大な人口を抱えるエリアにあるのでマイクロツーリズムには有利。このアドバンテージをしっかり受け入れられる体制を強化する必要があると思います。
おいしい料理や快適に過ごせることだけでなく、組合で取り組んでいる感染対策や障害者の皆さんのおもてなしなどの魅力も加えていく必要があります。
さらに、そうした取り組みを発信していくことも必要です。組合は情報発信に関しては専門家ではないので、組合で取り組んでいることをどう知らしめるかを、千葉日報さんと組んで一緒にやっていきたいと思います。それによって、千葉県内の観光が活性化して、千葉県が活性化するという全体のメリットにつながればいいと思います。
――ありがとうございました。