コロナ禍で社会経済活動のあり方が大きく変わる中、地域事業者も自社の事業のあり方を見直していかなければならない時期に差し掛かっています。これまで「当たり前」とされていた方法が通用しづらくなる時代において、地域事業者はどんな方向に進んだらいいのか――。
そうした課題の解決に向けて、千葉県横芝光町で3月、経営層が集まって「次の一手」を考えるワークショップが開催されました。その模様をレポートします。
「同じことをやっていても事業拡大は難しい」
「今までと同じことをやっていても事業拡大は難しい。新しいことを始めなければ」
「受託業務ばかりで『待ち』の営業になっている。自社ブランド展開ができないか」
「地域の従業員に働き続けてもらうには、どんな職場環境が望ましいか」
3月にもかかわらず雪がちらちらと舞っていたこの日、横芝駅前情報交流館「ヨリドコロ」に地域の経営者や横芝光町商工会の職員ら8人が集まり、こうした経営をめぐる議論をざっくばらんに交わしていました。
この日開かれていたのは「会社経営の『次の一手』を一緒に考えませんか? ~プロモーション視点を取り入れた事業再構築を知るワークショップ~」。横芝光町商工会の関係団体・横芝光町雇用管理協議会と千葉日報デジタルの共同企画です。
コロナと経済の両立をどうするか?
はじめに、横芝光町商工会経営指導員(3月当時)の鈴木茂さんが、趣旨をこう切り出します。
「コロナと経済の両立が大事になってきました。『グレートリセット』という言葉も出てきたように、コロナ禍は社会の大きな転換期に差し掛かっています。そうした中、国も事業再構築補助金などの事業を新しく見直す取り組みを後押しする仕組みをつくっています。こうした視点で皆さんの事業について意見交換ができればと考えています」
事業再構築補助金、獲得の実際
続いて、横芝光町商工会のサポートで実際に事業再構築補助金を獲得した2社のインタビューです。ここからは千葉日報デジタルの中島が進行役を務めました。
まず、農業生産法人「理想郷」のケース。自社で取り扱っている米粉を使い、新たに米粉パンを製造・販売する事業再構築を計画していることが紹介されました。
次に、介護施設を運営する「グループホーム光」のケース。介護保険制度の範囲で事業を行うため事業拡大が難しい中、新たな視点で成長につなげようと「運動特化型デイサービス」などの新規事業を進めていくと説明がありました。
いずれも既存の自社事業のリソースを生かしつつ、将来に向けて新たな「次の一手」を打とうとする内容になっています。
消費者・利用者目線で必要な「プロモーション」
どちらも事業再構築補助金を獲得しているため、計画書では自社の強みと市場環境を掛け合わせた現状分析などができています。ただ、今後実際に事業化していく際には、消費者・利用者に向けたプロモーションや周知・集客活動が必ず必要になってきます。
進行役の千葉日報デジタルは、事業者のニーズに合った情報発信サポートを得意とするため、競合と差別化するためのブランド戦略や販売ターゲットの設定、商圏や客層に合った周知・集客方法といった具体的なアドバイスを織り交ぜてインタビューを進行していきました。
ワークショップならではのざっくばらんな情報交換
後半は、他の参加企業の課題も深掘りしていきます。例えば製造会社からは「今は受託業務が複数来ているが、自分たちでコントロールできないので『待ち』の営業になりやすい。自社ブランドの展開ができないか」といった話題がありました。
また、別の製造会社からは「比較的安定して地域の方に従業員として働いていただいているが、さらに働きやすい職場にするにはどんな改善をしたらいいか」という問いかけがありました。会場からは「うちの場合はこんな風にしている」などワークショップならではのざっくばらんな情報交換が生まれていました。
「次の一手」のヒントを得る場に
この記事だけでは一見ただの雑談だけで終わってしまったように見えますが、ワークショップ終了後には、個社同士が個別に相談している姿も見られ、この雑談をきっかけに新たな協業が生まれそうな雰囲気もありました。
参加者の一人からは「ただの『お勉強』のセミナーでもなく、ただの『飲み会』のような他愛ない会話でもなく、ちょうどその間でざっくばらんに話をしつつ、事業のヒントが得られた」とワークショップならではの気づきがあったことが語られました。
今回のワークショップを通して、参加各社の課題感とそれに対するリアクションが「気づき」を促し、各社が次に打つべき「次の一手」のヒントが得られたことは間違いないようです。
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千葉日報デジタルは、地域の経済団体との連携で地域事業者の情報発信サポートを展開しています。今回のようにワークショップ形式での開催も可能です。
ご興味がおありの方はお気軽に「お問い合わせ」からご連絡いただければ幸いです。